






ドウロ河近郊に暮らす少年たち。カルリートスは内気な夢想家で、エドゥアルドは恐れを知らぬリーダー。二人はともに、グループで唯一の少女テレジーニャに恋をしている。ある日、カルリートスはテレジーニャが欲しがっていた人形を盗み、彼女にプレゼント。そのことをきっかけに少年たちの間に緊張が高まり、カルリートスはグループから仲間はずれにされる……。
1942年に故郷ポルトの街を舞台に製作された本作は、子どもたちの躍動を簡潔かつ大きなスケール感で描き、「ネオレアリズモ」を先駆けたともされる。2025年、第82回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門で上映。制作から80年を超える時が過ぎ、その詩的な魅力に満ちた現代性が再び注目されている。
マノエル・ド・オリヴェイラ
(1908-2015)
1908年12月11日、ポルトガル北部の都市ポルト生まれ。1931年、サイレントの短編ドキュメンタリー映画『ドウロ河』を監督。その後、短編作品を制作。1942年には初の長編映画『アニキ・ボボ』を手がける。アントニオ・サラザール政権による独裁体制下で企画が成り立たず、家業に従事しながら短編を作る。1963年に長編第二作『春の劇』を監督するも、発言が問題視され投獄された。1974年に独裁政権が終わると、80年代以降は旺盛に作品を発表。ヨーロッパで注目を集める。1985年、超大作『繻子の靴』を出品したヴェネチア国際映画祭で特別金獅子生涯功労賞、1991年には『神曲』が同映画祭の審査員特別賞を受賞。『クレーヴの奥方』(99)でカンヌ国際映画祭審査員賞、同映画祭の名誉パルム・ドールを2008年に受賞している。2015年4月2日、106歳で死去。